国際ジャーナリスト&旅行ジャーナリスト 大川原 明

世界各国、日本各地を周り、多くの場所を写真、動画撮影等で取材

02月

『緊迫のウクライナ情勢-ロシアはウクライナへ侵攻するのか!?』

1991年12月26日にソビエト連邦が崩壊。崩壊と共にソビエト連邦構成国が完全独立を果たした。著者はロシアを含めた旧ソ構成国の中で中央アジア以外の国々は全て訪問。対露感情、対NATO、対日、他の対外関係の調査もおこなってきた。

旧ソ連構成国で訪れたのはロシア、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ベラルーシ、モルドバ、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、そして今回問題となっているウクライナ。更には旧ソ解体と共にモルドバから分離独立を果たした国際的に未承認の国家「ドニエストル共和国」にも訪問。別号でドニエストル共和国に関して取り上げる予定である。

アメリカがロシアとウクライナへの渡航中止(レベル4)発出、日本も渡航中止勧告(レベル3)を発出。現地に送り込んだCIAなどの情報機関員やウクライナ軍からの情報提供などで戦争への緊迫度が増しているのが分かる。

※下記はウクライナのキエフでおこなわれた軍事パレード

ウクライナにロシアが侵攻する可能性は高まっており、世界が注目している。もし、ロシアがウクライナへ侵攻した場合、中国の台湾侵攻が同時におこなわれる可能性があり、更には中東のイスラムの国々や過激派集団が大規模に戦争をしかけてくる可能性がある。そうなると冷戦下ではおこらなかった第3次世界大戦へと進んでいく可能性も否定できない。

ウクライナはどのような国なのか

※下記は宿泊先ベランダからのキエフ市街地

  1. ウクライナ概要  

1 面積

60万3,700平方キロメートル(日本の約1.6倍)

2 人口

4,159万人(クリミアを除く)(2021年:ウクライナ国家統計局)

3 首都

キエフ

4 民族

ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール人、ユダヤ人等(2001年国勢調査)

5 言語

ウクライナ語(国家語)、その他ロシア語等

6 宗教

ウクライナ正教及び東方カトリック教。その他、ローマ・カトリック教、イスラム教、ユダヤ教等。

7 政体

共和制

8 元首

ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(2019年5月~)

経済

1 主要産業(産業別構造比)

  • 卸売・小売業、自動車・二輪車修理業(14.0%)
  • 製造業(10.1%)
  • 農業、林業、漁業(9.3%)
  • 行政・防衛・社会保障(7.2%)
  • 不動産業(6.4%)
  • 運輸・倉庫業(6.3%)
  • 情報・通信(5.0%)
  • 鉱業・採石業(4.5%)
  • 教育(4.3%)
  • 専門・科学・技術的活動(3.3%)

(2020年:ウクライナ国家統計局)

2 国民総生産(GDP)

1,555億ドル(2020年:世銀)

3 一人当たりGDP

3,726ドル(2020年:世銀)

4 GDP成長率

3.8%(2021年予測値:世銀)

5 物価上昇率

2.7%(2020年:世銀)

6 失業率

9.5%(2020年:世銀)

7 総貿易額

(1)輸出

492億ドル

(2)輸入

543億ドル

(2019年:ウクライナ国家統計局)

8 主要貿易品目

(1)輸出

穀物(19.1%)、鉄・鉄鋼(15.6%)、鉱石(9.0%)、電子機器(5.2%)

(2)輸入

鉱物性燃料(14.7%)、機械類(11.2%)、輸送機器(10.1%)、電子機器(10.1%)、医薬品(4.6%)

(2020年:ウクライナ国家統計局)

9 主要貿易相手国

(1)輸出

中国(14%)、ポーランド(7%)、ロシア(6%)

(2)輸入

中国(15%)、ドイツ(10%)、ロシア(8%)

(2020年:ウクライナ国家統計局)

2.ウクライナへの日本の援助-対日感情良好

日本は今まで、アジア、アフリカ、東欧、旧ソ連構成国、太平洋島嶼国、中東、中南米などにODAによる資金と技術援助をしてきた。かつて日本は世界で1番の援助国であったが、近年はその地位が低下してきているのも事実である。日本のODA援助により世界各国が発展してきているのは事実で日本がしてきた貢献は大きい。

日本に援助された国々は極々一部の国々をのぞいて日本に感謝しており、対日感情上昇につながっている。世界には親日国は数多くあるが、日本のこういった援助もその要因の1つとなっているのは紛れもない事実である。

ウクライナ日本大使館のデータを引用させていただくと

日本はウクライナに対しても多大な援助をしてきたことが分かる。

(1)有償資金協力            1,690億円

(2)無償資金協力            98億円

(3)金融支援     580億円

(4)チェルノブイリ・核不拡散関連支援     218億円

(5)技術協力     94億円

チェルノブイリ原発跡地は著者が数年前に訪問したが、現在でも放射能が完全に消えていないのが実情。除去費用にも日本の援助金が使用されている。

実際に著者が現地踏査時にウクライナ人に対しての対日感情を調査したところ、殆どのウクライナ人が日本に対して非常に良い感情を持っていた。しかし、ロシアに対してはクリミア併合やドネツク州の問題で危機を覚えており、対露感情が非常に悪いと実感。

※下記はチェルノブイリ原発事故現場

日本はロシアとは日本固有の領土である北方領土の問題は未解決のまま、ロシアへの脅威といった点では相通じるものがあると思う。これは他の旧ソ構成国、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やモルドバ、ジョージア、もしくは、かつてロシアに植民地化された歴史がある北欧のフィンランド、冷静時代にソ連の衛星国であった東欧諸国も脅威に感じている。西欧諸国も少なからず脅威に感じているであろう。

  • クリミア併合&ドネツク州の問題

ロシアによるクリミア併合が行われる前、2013年、時の大統領であった親露派であったヤヌコーヴィチがEUとの政治・貿易協定の調印を見送ったことで、多数派を占める国内の親NATO派による反対運動が勃発した。2014年1月以降に武力抵抗をするグループが活動を活発化させ、治安維持部隊との衝突が発生し、双方に犠牲者が出る。

翌2月に終わりを迎えた。この衝突で13人の警察含む82人が死亡しており、1100人以上が負傷した。

2月22日にヤヌコーヴィチ大統領が首都のキエフから行方をくらまし、翌日、ウクライナの立法府はヤヌコーヴィチ大統領の弾劾を決定、5月25日に大統領選挙を行うことに反対なしの賛成328票を得た。

この月には既にロシア軍がウクライナのクリミア領に入り込んでおり、クリミア半島での主導権を握りはじめていた。この間、クリミア半島でロシア連邦への併合についていわゆる「住民投票」が行われた結果、83%の投票者で96%の賛成となった。

その後、事実上、ロシアによる実効支配が続いている。

この住民投票は、EU・アメリカ、ウクライナ人、クリミア半島のクリミア・タタール人によって、「ウクライナ憲法と国際法に違反している」として非難されている。

ウクライナ東部の州において2014年に親露派が武装蜂起したルハンスク州南部とドネツク州東南部は現在、両州合計面積の約3割が親露派の占拠下にあり、死者は累計で約1万4000人に達している。

  • ウクライナの現状、ウクライナ危機

現在、ロシアは軍隊をウクライナの国境近くに駐留させ、軍事力の集結や軍事演習を断続的におこなっている。ウクライナやジョージアへのNATO(北大西洋条約機構)加盟を2国やNATOやアメリカに要求している。ロシア側からすれば、旧ソ構成国は手の内に入れておきたいだろうし、ロシアからすれば、両国がNATO加盟すれば安全保障上脅威に感じるのは事実である。

アメリカの戦略国際問題研究所は昨年11月、ロシアがウクライナ本土に侵攻すれば首都キエフは数時間で陥落するとの予測を公表している。旧ソ解体により冷戦が集結したかにみえるが、実際はロシア、そして急成長を遂げている中国が世界に覇を唱え始めており、新冷戦時代といっても過言ではない。

もしロシアがウクライナに侵攻すればウクライナは窮地にたたされるのは目に見えている。

ロシアの軍事力は非常に脅威であり、ウクライナ1国での戦いは非常に厳しいであろう。ここ最近では、一般の女性や子供までが軍事訓練をし、ロシア侵攻に備えている。

ロシアがもしウクライナに侵攻すれば、中国が台湾に侵攻する可能性も出てきている。そうなれば、反欧米のイスラムの国々、共産社会主義国家がつづき、第3次世界大戦に繋がる可能性も否定はできないのである。

執筆

大川原 明

大学卒業後、新卒総合職にて大手旅行代理店㈱エイチ・アイ・エスに入社・外国人顧客部署(英語にて対応、新宿本社営業所・海外支店勤務。その後、別の大手旅行会社にも勤務。以後、世界と日本各地を訪問。(現在93か国の渡航歴、日本国内は46都道府県訪問済み)

現在はジャーナリスト(国際ジャーナリスト、旅行ジャーナリスト)として国際問題、国際情勢、旅行などメディア各種媒体への意見協力、執筆、映像や画像提供などをおこなっている

・海外渡航歴93か国、海外居住歴(留学、仕事)計4か国(オーストラリア、フィジー、ベトナム、タイ)、渡航調査も含めて9年~10年。
・日本は46都道府県 訪問済み(令和3年(2021年)1月現在)

【メディア実績】
(テレビ局)
テレビ番組出演(スタジオ生出演、事前収録、電話出演)、意見協力、コンサルタント監修、映像&写真提供等
.フジテレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、日本テレビ、NHK、スカパー、MXテレビ、アベマテレビ各番組

(ラジオ局)
ラジオ番組出演(スタジオ生出演、電話出演)
.J-WAVE、東京FM、JFN38 局ネット、CBC、RKB、RCC各番組各番組

(新聞紙)
執筆、意見協力、監修、写真提供等
.産経新聞、読売新聞、朝日新聞、夕刊フジ、日刊スポーツ、東京スポーツ

(雑誌)
執筆(記事寄稿)、意見協力、監修、写真提供等
.週刊新潮、週刊SPA、週刊プレイボーイ、週刊ポスト、週刊朝日、トランジット(海外旅行雑誌)、週刊文春、ジャパニズム等

(通信系)
意見協力
共同通信、時事通信

(WEB系メディア)
執筆(記事寄稿)
トラベルJP

他、公的機関や民間企業、個人からの依頼

海外に出始めて早20年。海外渡航歴93か国、長期留学(2年)で英語を習得し、旅行会社勤務時は駐在も経験。
海外4か国居住、渡航調査も含めて9年~10年。海外120か国以上、数十万人の外国人と交流し、国際事情、宗教
民族、国際関係に精通。

海外人脈、現地踏査により的確で正確な情報提供
高性能機材(映像、画像)による撮影。